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    粘土とはどんな性質の土か

 

 何故、粘土は乾けば固くなるのか、そして焼くと少々叩いても壊れないぐらい強くなるのか。粘土と言うのはあのネバネバ、ネチコチした土ですが粘土がネバネバしているのは可塑性があると言う事です。
 可塑性があるのは粘土と粘土の中の粒子を水が潤滑油のように結び、その水に含まれているバクテリアの死骸とか排泄物が腐食して粘り気をだしているからです。
 こんな事を言うと粘土に触れる事を嫌がる人もいますが、バクテリアが腐ったネチコチした土こそ最高の粘土なのです。
 粘土は珪素、アルミニウム、鉄、マグネシウム、アルカリ金属、アルカリ土金属、そして水分を含んだ鉱物です。水にぬらせば可塑性を生じ、乾燥すれば固まって、ある程度の強度を生じます。焼けば締まって収縮し、火度が高くなる程、硬さを増し、さらに高温になると溶解してしまいます。

 粘土の原料としては @媒熔原料、A除粘原料(非可塑性原料)、B粘土質原料(可塑性原料)があります。@の媒熔原料としては長石がありガラス化を強力に進め熔融点が低くなる働きをします。Aの除粘原料としては珪石(石英)があり、ゆがみや収縮を防ぎ耐火度を高めたり、焼き物を丈夫にしたりする働きがあります。Bの粘土質原料には珪酸、アルミナがあり粘着性と可塑性を増す働きをします。

 陶芸に使用する粘土は餅のように粘るだけでもダメで、海岸の砂のようなバサバサで形にならない様なものもダメです。初心者が使用する粘土として必要なのは作り易く破損しにくい事です。一般に信楽の土を使います。信楽の土には上述の3つの原料がバランスよく配分されています。窯のなかで破損したり乾燥中にひび割れしたりする危険性が少なく、また適度に粘りと弾力性があり、形も作り易く初心者にとつて扱いやすい土です。
 粘土にもいろいろあります。信楽、志野、備前、萩、唐津など、それぞれに表情と感性を持っていますので、いろいろな土を試みて下さい。
「土練り3年、轆轤8年」と言います。土練りはたいへん根気がいり、力のいる仕事ですが大切な基本です。土の固さ、柔らかさ見ているだけでは分かりません、実際に土に触れ、土と格闘することで土の動き、重さ、癖というものが分かる様になってきます。

土練りをする事により自分の手で土を感じる事が大切です。