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           素焼き

 


粘土は乾燥により水分が抜け固くなります。この時点では土の組成に変化はないので固くなっても水分を加える事でまた元に戻ります。

水分には純粋水分と結晶水(遊離水)の二通があります。乾燥したと思われる作品の中にも10%以上の水分が含まれていて、この水分は何年経っても抜けません(蒸発しません)、この結晶水(遊離水)は摂氏400度まで抜けたがらない(蒸発したがらない)性質があります。

 粘土を完全に乾燥させ焼くと純粋水分、結晶水(遊離水)とも蒸発し粘土が溶けて固くなります。

 最初は素焼きと言って摂氏600度から800度で焼きます。遊離水の勢いが一番強くなるのは、およそ摂氏220度です。遊離水が蒸発する時に熱を奪うので、なかなか温度が昇がりません、この時点で急激に温度を上げようとすると、焼き物は温度上昇に耐え切れず爆発を起こし壊れます。ですから摂氏400度ぐらいまでは、遊離水を抜くように注意しながら温度を少しづつ上げていくと、焼き物は割れません。

 摂氏575度で土の容積変化が終わり土から焼き物に変わります。珪酸分がアルファー石英からベーター石英に変わります。体積が急激に膨張しますので、この時点でゆっくりと時間をかけて焼成することが必要です。

 素焼きの温度が高くなり過ぎると、融化(ガラス化)が始まり土の組成が密になり釉薬が素地につかなくなり、後々の作業に悪影響を及ぼします。素焼きは摂氏600度か700度で十分です。