ファイル No4

           
酸化?還元? 焼成

 

 焼成には酸素(空気)を適量送りこむ場合と、酸素をある程度遮断する場合があり、前者を酸化焼成、後者を還元焼成と言います。素焼きの器に酸化鉄(弁柄)で絵を描き透明釉を掛け酸化焼成で焼くと黒色っぽくなり、還元焼成で焼くと茶色っぽくなります。

 酸化焼成は酸素を供給し完全燃焼させます。素地や釉薬の中の鉄分や他の金属が酸素と反応して、鉄を赤さびに銅を青さびに変化させます。還元焼成は摂氏900度前後で酸素の量を減らした状態で窯焚き続けます。呈色剤に酸化銅を含む釉は酸化だと緑色に、還元だと鮮紅色になり、酸化鉄を含む釉だと酸化で黄みを帯び還元で青みを帯びます。

 電気窯で還元焼成を行う方法としては窯詰めの時に燃焼還元剤として木炭等を200g程度入れます。燃焼還元剤としては木、草やプラスチック、古タイヤ、発泡スチロール等燃える物なら色々のモノが考えられます。

摂氏300度までは酸化焼成で、その後、摂氏900度までは酸素(空気)を遮断した状態で昇温を続けます。なかの還元剤は火消し壺状態になり、燃えたくとも燃える事ができません。摂氏900度で酸素を少しづつ送りこみ燃焼を始めます。この時から還元焼成が始まります。焼成温度(摂氏1250度)になると、また酸素を遮断した状態にし、少しづつ温度を下げていきます。酸素不足のため窯内には一酸化炭素や炭化水素のガスが発生します。これらのガスが酸素と容易に反応して炭酸ガスを作ります。つまり、素地や釉薬の中の金属酸化物の酸素を奪って酸素の少ない酸化物、あるいは酸素のまったく無い金属に変えてしまいます。赤錆びていた鉄は青色に変わり、緑色の酸化銅は赤く変化します。