江原 順著 サイマル出版 980円
日本美術界の退廃の構造を詳細に述べ痛烈に批判している。 美術市場が本来中心となるべき美術館学芸部をすっ飛ばし、美術品を商品のように考える、投機的な呼び屋により占められ、美術品が利潤追求を第一目標とする画商の手で扱われるようになり、偽作マーケットが構成される。偽作マーケットの存在は美術市場のもともと真贋を問わない、利潤追求から始まっている。偽作屋に知名度の高い文人や学者が序文執筆者などに利用される。 ポリシーのない日本の文化政策の貧困。表面的な文化交流の名のもとに商品のように文化財をむやみに移し、作品の保存に関しては梱包、輸送、展示技術の進歩により重大な損傷はきわめて稀になっているが、ほとんど口にされることがない小さい損傷の集積の結果が起こす実際の危険性を指摘している。 美術界の利権構造は「直接に公安を乱すものでない」と世界の監視が少ないが、政界や財界の腐敗よりはるかに汚れている。
(2009年3月14日) (絶版につき出版社には在庫はありませんので、購読を希望される方は古書店でお買い求めください。)
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